新しく始める会社のこと
会社辞めて何をするの?と聞かれると、説明が難しい。
まず「人生設計」の観点からです。
数年後には定年を迎えます。それに向けて自分の能力がどんどん衰えているなというのがわかります。この気づきは恐怖以外の何物でもなく、心の中を蝕んでいきました。
このまま定年を迎えるまで働くことも可能です。それなりの年収を得られるし、希望すれば65歳まで働くこともできます。ただその歳になるまで、プロとしての能力が衰えて、周りの期待に応えられない自分を見るのがすごく怖いと感じました。
仕事を通じて周囲の人間を観察しました。観察の結果、30歳後半くらいから大きく自分を変えることのできる人間というのは、非常に少ないと思いました。特にIT業界は技術の進歩が速いので、自分が同じ位置に立っているということは、時代から遅れるということでした。常に学び、過去の成功体験に固守せず、変化していなかなければ同じ能力を保てられないのです。
自分は変化することに自信があったのですが、ここ数年はどうも違ってきている気がしました。特に2017年から2019年末までに関わったプロジェクトでは何度も自己嫌悪に陥りました。海外のプロジェクトであり、英語のコミュニケーションのハンデがあったとしても、それに対応した変化ができませんでした。もう少しマシな仕事できなかったのかと悔やまれました。
この「衰え」は毎年強まっていくのか?すると65歳の頃はどうなっているだろう?65歳で自信喪失して会社を辞めた自分が、その後どのように生きていくのか想像がつかない。
生気が少しでも残っている今なら、まだ新しいことを始められるかもしれません。できれば生涯できることを見つけたい。そういう思いがありました。数年後の退職を前に、会社を辞めた大きな理由は「焦り」です。
定年前に退職し、自分で事業をやるというのはリスクを伴います。失敗する可能性は低くありません。贅沢しなければ、それなりにのんびりと暮らせたかもしれません。
それでもやるなら失敗したり、収入が大幅に下がっても悔いのない仕事をしたいと思いました。これが何をするかを決めるにあたって重視したことです。
やりたいことは「教育」でした。たまたまIBMという会社に入って34年間ITの世界にいたものの、高校時代は教育者を目指して大学を受験しました。随分回り道をしたものです。
退職を決めたのは昨年の8月頃で、それから少しずつ業界の知識を得たりビジネスモデルを考えていました。今はまだそれは確固たる形にはなっていません。やりたいことの輪郭は曖昧で、まだアイデアがとめどなく流れているだけです。
聞かれると、取りあえずは、「学習塾を開く」と言うのですが、学習塾をやりたいわけではありません。学習塾はポータルであり、土地勘の無い自分が勘を養う場であってゴールではありません。
今は、新しい会社を立ち上げて器を作ったところです。当面は会社を作り、会社を運営するということを学んでいる段階です。
当面は今までの仕事の延長としてIT業をやりながら、教育に関わるビジネスを立ち上げるつもりです。早く時間を作って、様々なアイデアを発信していく予定です。発信することで、次に進む道が開けてくると思っています。